善惡の刃 재심 映画感想
善惡の刃 재심 映画感想
★★★★☆
2017年製作 119分 韓国
※この先、少し映画の内容に触れています。
なんと、一ヵ月ぶりの更新です。
この間にも何本か観て、マイリストを少し消化できましたが
さらに増えていく一方で追いつきません・・・嬉しい悲鳴ですね。
今回の「善惡の刃」は、サスペンスではありますが
特に展開が大きく変わったり、ハラハラする場面などはありません。
ただ、法について大きく考えさせられます。
担当する事件は敗訴ばかりで落ちこぼれていたジュニョン。
彼はヒョヌという青年と出会います。
ヒョヌは15歳の頃、タクシーの運転手を殺害したという濡れ衣を着せられ
冤罪で10年間服役したあと、賠償金の支払いに追われていました。
冤罪を知ったジュニョンですが、
最初は自分の出世の為、とヒョヌに再審を持ちかけます。
10年も前の事件の無罪を証明なんてできるのか?と疑うヒョヌ。
ジュニョンが証拠を集めていくと、
担当刑事のずさんな捜査、隠ぺいなどが明らかになります。
本当に刑事がひどすぎた・・・胸糞100%でした。
ジュニョンはどんどん感情移入していき、ヒョヌの人生を取り戻すために奮闘します。
ここまではいたってシンプルに進んでいくストーリー。
ですが、この作品はあともう少しなのに・・・と思う場面がたくさんあります。
なにせこの作品は薬村五叉路タクシー運転手殺人事件という
実際にあった事件に基づいた実話だからです。
観ているうちに、
あぁ、実話だからそんなにうまくいかないか。と思う反面、
なんでこんなことがまかり通っていたの?と怖くなります。
そして、終盤には意外な人物の裏切りがあってすごく絶望的な気持ちに・・・
シンプルだけれど、法とはなんなのか?法は私達を守ってくれるのか?と
誰もが考えるような作品でした。
もっとダークなサスペンスが好きで、ハラハラしたい方には
ちょっと物足りないかもしれませんが。
今まで冤罪を題材にした映画は何本か観ましたが、
観たら嫌な気持ちになるのがわかるので勇気がいります。(笑)
ヒョヌ役のカン・ハヌルのファンです。
小さな作品でも大きな作品でも、脚本を観て出たいと思えば出演するところもしかり
人間として魅力が溢れすぎている。
ファイ 悪魔に育てられた少年 화이: 괴물을 삼킨 아이 映画感想
ファイ 悪魔に育てられた少年 화이: 괴물을 삼킨 아이 映画感想
★★★★☆
2013年製作 125分 韓国
※この先、少し映画の内容に触れています。
とにかく魅力的な韓国映画界。
私自身、韓国語の勉強の為もあってよく観るのですが
とにかく観たあとずっしりくる暗い作品が多い・・・。
これもそんな作品のうちの一つです。
心優しい少年ファイには、父親が5人もいます。
その5人の父親の正体は、強盗の為なら殺人も犯す犯罪集団。
ファイは幼い頃、彼らに誘拐され育てられたのです。
自分の境遇に対してあまり疑問も持たず暮らしているファイ。
そんな彼に対し、父親の内の一人のソテクは厳しく接しています。
別の父親ジンソンが「ファイは俺達とは違う」と
彼を大学に行かせようとしても、そんな意向もよく思わないソテク。
ソテクはファイに学問より犯罪を教え込もうとしますが、
銃で人を撃つことができず怖気づいてしまいます。
そんな彼に「お前だけがきれいな人間じゃない」と、
自分たちと同じ道に染めようとするソテク・・・
そしてある日、連れ出された犯行現場で
撃てと命令されたファイはとうとう人を殺してしまいます。
ついに悪事に手を染めてしまったファイ。
これで彼も父親たちと同じ犯罪集団に・・・と思うのですが、
人を殺めた事実より、恐ろしい残酷な事実が明らかになり
彼の人生は大きく狂い始めます。
どんどん狂気的になるファイを演じたヨ・ジング君は
当時15歳だったそうですが、演技力が凄すぎて本当にゾッとしました。
ファイという役が憑依している・・・
今回はストーリーを多く語れずにいます。
これ以上言うと丸っきりネタバレになってしまうので・・・
正直言えば、事実が明らかになったあとの展開は読めますが、
俳優たちの演技力に惹き込まれて目が離せなくなります。
一人の少年が変わっていく様子がリアルすぎて本当にすごい。
エンディングも本当に救いようないし、悲しかったなあ・・・
ソクテはしっかり悪いやつだし。
ドラマより断然映画派の私でしたが、
最近ドラマも観るようになりました。
ドラマは長いスパンで登場人物達を観ていくので、
映画より感情移入がよりし易いですね。
ザ・ギフト The Gift 映画感想
ザ・ギフト The Gift 映画感想
★★★★☆
2015年製作 108分 アメリカ G
※この先、少し映画の内容に触れています。
サスペンス、スリラー大好きな私からすると見ごたえ抜群のこの作品。
言ってしまえばテーマは復讐です。
立場が変わればスカッとするけど、
主人公達の視点で観ているこちら側はとんでもなく後味が悪いです。
新居に引っ越してきた夫婦のサイモンとロビンは、
ある日1人の男と出会います。
彼はサイモンの学生時代の同級生のゴード。
久しぶりの再会。連絡先をもらい別れると、
後日、玄関には引っ越し祝いのギフトが。
ロビンはお礼にディナーをと、自宅に招きます。
少し変わっているゴードを
あまりよく思わないサイモンと、逆に受け入れるロビン。
そんな彼からまたギフトが届くようになります。
ロビンは彼をいい人だと信じて疑いませんが、
サイモンは「奴は学校で変人扱いされてた」と気味悪がります。
その後も何度も家をたずねてきたり、
自分の家に招いたりするゴードにしびれを切らし
もう今後は家に来ないでくれと頼むサイモン。
ゴードは関わりを一切断ちますが、
その後、奇妙なことが次々と起こり始めます。
池の鯉がみんな死んでいる、飼い犬がいなくなる、家の中で物音がするなど
度々悩まされていくうちに、精神が不安定になるロビン。
時間が解決していく、と乗り越えようとしていた矢先。
以前ゴードから届いた手紙には気になる文章が・・・
「過去のことは水に流そうと・・・」
はたしてこの言葉の意味とは?
なぜ彼はこの夫婦に付きまとうのか?
衝撃の事実と共に、ゴードの復讐が繰り広げられるのですが
私が感心したのはラストの展開。
ギフト(贈り物)が物語の鍵になっているのは気づくのですが、
それでもラストがあんなにゾッとするなんて思わなかった。
人の怖さを思い知る作品です。
なんてったってゴード、すごく穏やかで優しそうなんですよ。
距離のつめ方も変だし、だんだん不気味になるんだけど
とんでもないことをするようには見えないところが怖い。
その点、サイモンはとことんクズだった。
全く共感も感情移入もできない・・・
こういうやられたらとことんやり返す作品もっと観たいな。
パラサイト 半地下の家族 기생충 映画感想
パラサイト 半地下の家族 기생충 映画感想
★★★★☆
2019年製作 132分 韓国 PG12
※この先、少し映画の内容に触れています。
昨年、世界的に大ヒットしましたよね。
ポン・ジュノ監督といえば、
パラサイトにおいてはアジア映画界に革命を起こしたのではないでしょうか。
半地下に住んでいるこの4人家族は、みんな失業中で生きるのも精一杯な状態。
そんなとき、息子のギウは友人からある提案をされます。
自分が留学に行く間、今教えている女子高生のダヘに家庭教師をしてほしいと。
ちなみに友人役はパク・ソジュンです。特別出演!!
自分にできるのかとためらいますが、引きうけます。
それもそのはず・・・
ダヘは高級住宅街の豪邸に住んでいたのです。
給料も高額。
母親はギウの授業を見て気に入り、快く採用します。
するとギウは、ダヘの弟ダソンの美術の先生にいい人がいると
自分の姉ギジョンを推薦します。
もちろん姉ということは隠して。
ギウはこの時点で、大学の証明書などを偽造しているのですが
なんでも信じやすい母親はすぐにギジョンのことも気に入ります。
ここからどんどんエスカレートしていく半地下の家族。
このお金持ち一家の
運転手、家政婦を次々追い出し、父と母までも雇われます。
まさにタイトルにあるように寄生です。
この作品には”計画”という言葉が度々出てくるのですが、
じゃあこの計画はここからどうなるのか?
この作品は大体2時間ぐらいですが、
正直最初の1時間は比較的スリル感はなく、ゆっくり過ぎていきます。
そこから突然ジェットコースター並みの怒涛の展開。
突然展開が一転するシーンがあるのですが、
映画館で最初観たときの周りの異様な空気が忘れられません。(笑)
このまま寄生して終わるのか?
はたまたばれてしまうのか?
先が読めないのでいろいろ考えるのですが、いい意味で裏切られます。
ネタバレになるので言えませんが、
ある人の演技にわたしは拍手を送りたいのです。
気味の悪さがやばい。本当にやばい。
アカデミー賞を受賞した瞬間の感動ったらそれはすごかったなあ
アジア映画も世界に認められるんだと純粋にうれしかったです。
韓国映画は特にクオリティが群を抜いているし、
納得の結果です。
ビューティー・インサイド 뷰티 인사이드 映画感想
ビューティー・インサイド 뷰티 인사이드 映画感想
★★★★☆
2015年製作 127分 韓国 G
※この先、少し映画の内容に触れています。
映画やドラマの中では、普段日常で体験することのない出来事が起こったりして、
私たちが憧れている世界がたくさん描かれています。
この映画もそういった作品なのですが、
他とは違ってとても斬新です。
主人公は家具職人のウジン。
彼はなんと、寝て起きたら全く違う容姿に変わります。
しかも性別、年齢、国籍もすべてバラバラ。
もちろん中身はずっとウジンのままです。
そんなウジンは総勢123人の俳優さんが演じています。
毎朝起きる度に新しい自分に変身するのです。
斬新ですよね。
ある日、彼は家具屋でイスという女性と出会います。
彼女に一目惚れしたウジンですが、
次の日には違う姿の自分が告白だなんてありえない。
そう思い悩みますが、あきらめません。
ウジンは納得のいく容姿で彼女にアプローチをします。
いい雰囲気になれた二人ですが、やはり姿は変わってしまいます。
正直に打ち明けるウジンと、理解に苦しむイス。
イスは彼を受け入れようと努力します。
そんな二人のストーリーは、一見難しくもありますが
とても深い愛で満たされています。
実はウジン役の一人として、上野樹里さんも出演されています。
그래도 내 다양한 모습 덕분에 이수는
세상에서 가장 많은 사람에게 사랑 받는 여자가 될거다.
(でもイスは僕の姿が変わるおかげで、世界で一番たくさんの人に愛される女性になる)
この言葉、本当に素敵。
ウジンは自分の状況をとてもポジティブに考えているのです。
とてもよかった。
愛について考えさせられるし、
イスが葛藤する姿に胸をうたれます。
わたしは終始、自分がイスの立場になったらどうだろうと考えながら観ていました。
性別も年齢も変わる。でも中身は大好きな恋人だったら?
果たしてその人を愛せるでしょうか。
イス役のハン・ヒョジュとっても美しいです。
どんなシーンでも絵になるし、これこそ韓国美人だなあ。
韓国語のキーボードがまだ届いていないので
ハングルの打ち間違いがあったらどうしよう・・・(笑)
最強のふたり Intouchables 映画感想
最強のふたり Intouchables 映画感想
★★★★★
2011年製作 113分 フランス PG12
※この先、少し映画の内容に触れています。
こんなご時世ということもあり
「フルートベール駅で」や「デトロイト」など
人種差別を題材にした映画が注目され始めていますね。
様々な作品がありますが、
この作品は境遇、人種を超えた友情に感動させられます。
体が不自由なパリの富豪、フィリップは、
新しい介護人を雇うため面接をしていました。
そこに現れた一人の青年ドリスは、雇いにもらいに来たわけではなく
失業保険をもらうため、逆に不合格のサインがほしいというのです。
面接でも音楽やユーモアの話をする彼を気に入り、
介護人にすることに決めたフィリップ。
ドリスは戸惑いながらも介護人として働き始めます。
ドリスはフィリップに対して分け隔てなく特別扱いせず接します。
時には外に連れ出したり、一緒にふざけたり、
飾らない素直なドリスをフィリップは徐々に受け入れ始めます。
周りの人から反対されても
「彼は私に同情しない。彼の過去や素性は関係ない」
こう言えるほどの関係。
そんな二人のストーリーはなんと実話なのです。
置かれた環境が違う二人がお互いを尊重し合うって素敵だなあ。
笑いもあり、涙もありな素晴らしいこの作品ですが、
なにがいいかって
俳優さんたちの飾らない笑顔が本当にいい。
こちらまで思わず笑顔になります。
わたし、フランス映画ってまだ本当に未開なので、
もっと開拓しなければ・・・
実はすごく久しぶりにこの作品を観たのですが、
冒頭に流れるEarth, Wind & FireのSeptemberですべてが蘇りました。
最強すぎる。
実は今注目している映画が。
”植物が人間を支配する”といったお話みたいです。
いかにも私の好きな感じの・・・楽しみ。
これから次に注目している映画などもどんどん載せようかな。
ゲット・アウト Get Out 映画感想
ゲット・アウト Get Out 映画感想
★★★☆☆
2017年製作 104分 アメリカ G
※この先、少し映画の内容に触れています。
普段から、映画はオールジャンルなんでも観ますが
実はジャンルとしてはサスペンスが一番好きです。
とにかく人が怖い・・・
そして衝撃の展開という面で、この作品は素晴らしかったです。
アフリカ系アメリカ人のクリスは、彼女のローズの実家に招待されます。
自分が黒人であることを受け入れられるかどうか不安なクリスですが、
そんな不安とは裏腹にローズの家族からは歓迎を受けます。
ですが、クリスが喫煙していることをよく思わない両親。
夜中にタバコを吸いに外に出たクリスに
ローズの母は待ち構えていたかのように、催眠術で禁煙治療をします。
なんとびっくりするほどかかってしまいます。
初めて訪れた彼女の家で、催眠術は怖すぎる・・・
そんな中、クリスはあることに違和感を覚えます。
使用人達が自分と同じ黒人であるということ。
ローズの父親は「親の介護のために雇ったが、親が死んだあとも解雇する気にはなれないので」と説明しますが、
使用人達の奇妙な行動を目にするようになります。
ローズはクリスの味方になり寄り添いますが、違和感は消えません。
次々とおかしなことが起こります。
疑心暗鬼になり、ローズに帰ろうと言うクリスでしたが・・・
ここからの展開が本当に衝撃。
こういう感じ、すごくハラハラして面白かったです。
至る所に物語の鍵となる要素が散りばめられていて、
だんだん理解していく感じが最高でした。
お化けが出てくるホラー映画より、
人の怖さがにじみ出るサスペンス映画の方が好き。
じわじわ追い詰められる怖さですね。
監督は元々コメディアンだった方で、この作品が初監督作品だそうです。
本当に初監督なの?!と驚くほどのクオリティ・・・